みなさんこんにちは、ドキュメンタリー写真家のT-heyです。
デジタルカメラで写真を撮る楽しさを知るうえで、富士フイルムの「フィルムシミュレーション」は欠かせない存在です。
この機能は、富士フイルムが長年培ってきたフィルム技術をデジタルに活かし、まるでクラシックなフィルムカメラで撮影したようなエモーショナルな写真を手軽に再現できるものです。
今回は、ポートレート撮影に焦点を当て、全20種類のフィルムシミュレーションを実際に使い比べた結果をご紹介します。
女の子の肌のトーンや雰囲気がどのように変わるのか、ぜひ参考にしてください!
当ブログでは主に富士フイルム「Xシリーズ」で撮影した写真作例を多数掲載しています。ぜひ、ブックマークをお願いいたします。
フィルムシミュレーションとは…
フィルムシミュレーションは、富士フイルムのカメラが搭載しているデジタル処理機能で、クラシックなフィルムの特性を再現します。たとえば、風景写真に最適な「Velvia/ビビッド」、柔らかいトーンの「ASTIA/ソフト」、映画のような「ETERNA/シネマ」など、シーンや被写体に合わせた表現が可能です。
ポートレートでは、特に肌の色味や光の再現が重要。フィルムシミュレーションを使い分けることで、同じ被写体でも全く異なる印象の作品に仕上がります。
【作例】(JPEG撮って出し)
作例は「FUJIFILM X RAW STUDIO」(PC)で現像していますが、このアプリはカメラの画像処理エンジンを使って現像する方式のため、事実上「JPEG撮って出し」の色味となります。
※掲載した画像は長辺2000pxにリサイズし、最高画質設定で保存したものです。閲覧環境により読み込みに時間がかかる場合がありますが、1枚1枚じっくりとご覧ください。
「PROVIA/スタンダード」
- 特徴: 自然でバランスの取れた色再現。彩度やコントラストが標準的。
- ポートレートの印象: 肌色が忠実に再現され、自然な印象。特に光が柔らかい環境で無難な仕上がり。
- おすすめシーン: 日常的なポートレート、旅行写真。
「Velvia/ビビッド」
- 特徴: 鮮やかで高彩度。風景写真に最適なカラープロファイル。
- ポートレートの印象: 肌のトーンが少し濃く、色彩豊か。エネルギッシュな印象を与える。
- おすすめシーン: ファッションポートレート、カラフルな背景の撮影。
「ASTIA/ソフト」
- 特徴: 滑らかでソフトなトーン、肌色を美しく表現。
- ポートレートの印象: 肌が優しく、柔らかな雰囲気に仕上がる。特に女性のポートレートに適している。
- おすすめシーン: クローズアップポートレートや結婚式。
「クラシッククローム」
- 特徴: 低彩度で控えめな色調、ノスタルジックな雰囲気。
- ポートレートの印象: ドラマチックで映画的。少し冷たいトーンが印象的。
- おすすめシーン: ドキュメンタリー風ポートレートやストリートフォト。
「REALA ACE」
- 特徴: ナチュラルで忠実な色再現。
- ポートレートの印象: 肌色が正確に再現され、非常にナチュラル。
- おすすめシーン: 家族写真や自然光の撮影。
「PRO Neg. Hi」
- 特徴: コントラストが高めで鮮明。商業用ネガフィルムを再現。
- ポートレートの印象: 肌のディテールがはっきり出る。スタイリッシュで洗練された印象。
- おすすめシーン: プロのポートレート撮影やファッションフォト。
「PRO Neg. Std」
- 特徴: 柔らかく自然なトーン。控えめなコントラスト。
- ポートレートの印象: 肌色が優しく、フラットでナチュラルな印象。
- おすすめシーン: スタジオ撮影や日常的なスナップポートレート。
「クラシックネガ」
- 特徴: 「写ルンです」風のトーン。コントラストが中程度で、ノスタルジックな雰囲気が非常に強い。
- ポートレートの印象: ハイライトとシャドー部の独特な色合いが、感情を引き出す。
- おすすめシーン: アートポートレート、懐かしさを表現したい作品。
「ノスタルジックネガ」
- 特徴: 柔らかい光と暖かみのある色合い。
- ポートレートの印象: フィルム写真のようなノスタルジックな雰囲気。特に夕方の光で魅力を発揮。
- おすすめシーン: 叙情的なポートレートや思い出を感じさせる写真。
「ETERNA/シネマ」
- 特徴: 低彩度で映画的。コントラストが控えめ。
- ポートレートの印象: 落ち着いたトーンで渋い仕上がり。物語性のある雰囲気を作りやすい。
- おすすめシーン: 映画風ポートレート、ドラマチックなテーマ。
「ETERNA ブリーチバイパス」
- 特徴: 彩度が非常に低く、コントラストが高い。漂白工程を省略した映画現像を再現。
- ポートレートの印象: 無機質でクールな印象。特に暗めのシーンで映える。
- おすすめシーン: アート系ポートレートやシリアスなテーマの作品。
「ACROS」
- 特徴: 高い階調表現と粒状感が特徴のモノクロフィルム。
- ポートレートの印象: ディテールが際立ち、クラシックな印象。影の表現が豊か。
- おすすめシーン: モノクロでの表現に特化したポートレート。
Rフィルターは肌のトーンが明るく好み。
「モノクロ」
- 特徴: 標準的なモノクロ。
- ポートレートの印象: 柔らかい階調で自然な仕上がり。
- おすすめシーン: モノクロ写真の初心者や日常的な撮影。
「セピア」
- 特徴: セピアトーンでレトロな雰囲気を演出。
- ポートレートの印象: 懐かしい雰囲気を与える。肌のトーンが独特。
- おすすめシーン: ヴィンテージ感を出したい時やテーマ作品。
「全20種類を一覧で比較」
カメラセッティング
今回の設定は以下のとおりで、極めてニュートラル。
富士フイルムが無料で提供しているRAW現像ソフト「X RAW STUDIO」を使ってフィルムシミュレーションのみを変更しています。
- 測光モード:マルチ
- ダイナミックレンジ:400%
- ホワイトバランス:晴れ(WBシフトなし)
- ハイライトトーン:0
- シャドウトーン:0
- カラー:0
- シャープネス:0
- 高感度ノイズ低減:0
- 明瞭度:0
- 点像復元処理:ON
- カラークローム・エフェクト:OFF
- カラークローム ブルー:OFF
- グレイン・エフェクト:OFF
- スムーススキン・エフェクト:OFF
結論とおすすめ
富士フイルムのフィルムシミュレーションは、それぞれに異なる個性があり、撮影シーンや意図によって使い分けることで写真表現の幅が広がります。
初心者はまず「ASTIA/ソフト」や「PROVIA/スタンダード」から始め、テーマに合わせて「クラシックネガ」や「ETERNA/シネマ」などを試してみるのがおすすめです。
今回は赤ちゃんの写真で比較したということもあり、個人的には「クラシックネガ」のエモい感じがはまったかなと感じました。
風景写真でのフィルムシミュレーション比較記事もありますので、合わせてご覧ください。
みなさんのお気に入りのシミュレーションや使い方のアイデアがあれば、ぜひコメントで教えてください。
今回使用したカメラ・レンズ
- 富士フイルム「X-T5」
- フジノンレンズ「XF33mmF1.4 R LM WR」
カメラによって全20種類のフィルムシミュレーションが搭載されていない場合がありますが、私の愛機「X-T5」なら全部入りでデザインもかっこいいのでおすすめです。
コメント